福島の原発事故について

福島の原発事故について

小生、大学でちょっと核物理も勉強しているので、社員向けにいろいろと情報を配っています。いままで漏れたことが無いようなものが出てきていますので不安になっているのも十分理解できますが、今までの基準があまりにも厳格であったともいえます。
東京電力の肩を持つわけではないのですが、人間のわがままに振り回されてきたのはちょっとかわいそうとも思います。福島第1の1から3号機は本来であれば既に廃止(使用済み核燃料の保管は必要ですが原子炉としての機能は止める)してあったはずのものです。それなのに「原発反対」と言ってなかなか新しくて安全なものが作れず、かといって古いのを停止(1号機から3号機で200万kwの発電量がありますので)したら電気が足りない・・
そんな狭間に落ちてしまったのが日本の原子力行政です。

火力発電では「CO2の削減はどーなった!」、水力発電では「もうダムは要らない!」、太陽光は「不安定で夜は発電できない」、風力発電も「不安定で、安定供給には程遠い」・・・・・
電力会社としては「じゃーどーしたらいいの?」です。

今の日本では、安全性を考えた上で原子力に頼らざるを得ないのが現状です。「原子力を捨てる」のであれば、昭和40年代に戻る覚悟が必要です。

以下に小生が社員向けに配布しているものをお送りします。現状の福島原発の状態は、予断を許さないものの、半径100km以上であれば「過剰反応」は必要ない状況です。

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現状についてコメントします。

福島原子力発電の放射性物質漏洩による影響は現在は問題ない状況です。

1000万~2000万マイクロシーベルト 全身被曝(JOC臨界事故での死亡者)
300万マイクロシーベルト 全身被曝(半数が死亡)
100万マイクロシーベルト 全身被曝(10%の人が悪心嘔吐)
50万マイクロシーベルト 全身被曝(抹消血中のリンパ球減少)
40万マイクロシーベルト(400ミリ)福島第一原発事故での1時間当たり最大値★
6900マイクロシーベルト 胸部CTスキャン1回
2400マイクロシーベルト 世界平均の一人当たり年間自然放射線量
1000マイクロシーベルト 日本の一般公衆(医療以外)の年間限度★
600マイクロシーベルト 胃のレントゲン1回
190マイクロシーベルト 旅客機による東京~NY往復1回(宇宙からも放射線が降っています)
50マイクロシーベルト 胸部レントゲン1回
5マイクロシーベルト 原発異常事態の1時間当たり基準(10条通報基準・屋内退避基準)★

0,8マイクロシーベルト ←東京で現在検出されているレベル

いろいろと問題になっていはいますが、日本の原子力の基準は非常に厳しくなっていますので現状ではそれほどあわてる状況にはなっていません。

しかし、今はそれほど問題がない状況は正しい判断になるとおもいますが、この数値が増大してくるかどうかが問題になります。

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先日の小生の同級生(関西電力の部長さん)からのメールです。
いたずらにパニックになる必要はありませんので冷静に行動してください。

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福島は東京から直線で約250kmの距離があります。
計画停電という実害がありましたので、心配、疑心暗鬼が強くなることはとても理解できます。

ネットやメールの情報は玉石混淆であることを理解して、自身で判断することが肝要です。
“デマ”に惑わされないでください。

放射線は目に見えないので怖いですが、α線はマスク一枚でも、β線はアルミホイルで、γ線χ線は鉛で、中性子は水で遮へい出来ます。
いざというときは、水で湿らせたガーゼを内側に入れたマスクをしてください。そして、シャワーを浴びれば外部被ばくのほとんどは流せます。
また、風は偏西風という言葉もあるように西→東に吹きます。すなわち、福島の太平洋側にほとんどは流れますので、東京向きの風向きではありません。天気も西→東に移っていきますでしょ。

どうぞ冷静に対応してくださいませ。ご安全に

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小生もいろいろと情報収集しましたが、被曝汚染源から200km超であれば全く問題ないとのことです。
小生も1桁間違っていましたが、1986年のチェルノブイリ事故の場合、退避半径は中心から30km(今回の外出禁止半径)ですので、相当な強風が東京方面に吹かない限りは人体に影響あるレベルの放射性物質は来ないことになります。
天気予報では、明日は陸地から海の方向に風が吹きます。
また、まだ予断は許さないものの、現在では今日の昼から大きく状況の変化は見られません。

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小生も非常に憂慮している事態が続いています。
地震については、収束方向に向かっているものと思われますので、心配するような状況になっていないと認識しています。

しかし原発の問題については、地震と違い「これから」の問題が続いています。
昨日のメールにもありますが、東京は大丈夫です。チェルノブイリですら30kmが退去範囲です。しかし、福島の原発から半径100km以内は結構危険です。
(なんらかの新しい事故があり、放射性物質が放出された場合、即時屋内退去となってしまう可能性があります。また、健康に大きな影響はないと思いますが、「被曝」してしまう可能性があります)
現状、東北方面には交通手段がありませんので、近づくことができませんが、事態を注視したいと思います。

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原発の状況についてですが、皆さんが心配しているような核爆発の危険性は全くありません。
天然ウラン(U238が主成分)のうち、0.3%含まれているU235を濃縮(北朝鮮で問題になった遠心分離機で濃縮します)して核燃料にするのですが、爆弾にするためには90%以上にU235を濃縮しないと使い物になりません。
発電所で利用しているのは4%程度の濃縮率なので、どんなに集めても広島・長崎で発生したような熱核爆発は起こりません。

現在懸念されているのは、原子炉破損、水蒸気爆発などが発生した時に発電後の核廃棄物が大気中に放出され、放射能汚染が起こることです。チェルノブイリはこの現象が発生しました。
先のメールにもありましたが、チェルノブイリでは半径30kmが完全立ち入り禁止となっているだけです。東京は250km以上離れていますし、通常は海の方向に風が吹いているので、少量の放射性物質が来ることはあっても、医療の検査や、家庭で使っている電子レンジなどの家電製品から、通常浴びているレベルのもので収まると考えています。

小生の同窓生が民主党衆議院議員の政策秘書をやっているので情報収集しましたが、非常に悪い状況であることの認識はあるものの、あわてている状況にはなっていないとのことです。

楽観できる状況ではないですが、あまり不安になり過ぎないようにしてください。復興支援として出来ることは「普通に仕事をして日本経済を支える」ことです。

非常にストレスがたまる状況の中での勤務と思いますが、ストレスが溜まると体の免疫力が落ちてきます。ストレス解消には「明るく、笑って」が一番です。
厳しい中ですが、「明るく、笑って」仕事をしていただくようにお願いします。

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電車も間引きですが、安定稼働してきたようです。
東北地方の震災からの復興も一部電気が戻ってきており、徐々に始まってきています。
日本人はいろいろな苦難から立ち上がってきています。多数の犠牲者の方のためにも、被災地の復興はもとより、皆さん一人ひとりの力で、1日も早い日本経済の復興への協力をお願いします。

今回の震災においては、おそらく(と言うか確実に)福島第1、第2の原子力発電所からの電力供給が停止します。
これで最大約800万kwの供給能力が失われたことになります。
ですので、現状の東京電力の最大供給能力は前回お話しした6500万kwから5700万kwに下がっています。
実際には設備が全て稼働することは出来ず、前回の新潟地震で被害を受けた柏崎の発電所も半分程度の稼働ですので、500万kwの供給が低下していますので、これから各所の停止中発電所をかき集めてきても4000万~4500万kwがせいぜいと予測します。
最大電力需要が高まるのは夏の冷房需要で、この時は5000万kwを超えます。4月中旬くらいで一旦計画停電は終わると思いますが、今年の夏にまた計画停 電がある可能性があります。そのため、冷房に対しても相当な省エネが求められ、都会は「暑く」なるものと予測しています。
また、最悪の事態に備えて、放射性物質への対応についてお知らせします。
いままでのメールにもありましたが、過度に恐れる必要はありません。今問題になっている4号機は定期点検中でしたので、原子炉が高圧になって爆発する危険性はないと考えます。
使用済み核燃料棒を納めているプールの水が蒸発(使用済みといっても放射性物質を含んでいるため、少量ですが核分裂をするため温度が上がります。それを水で冷却していますが、その水がなくなってしまい燃料棒を覆っている金属を溶かしてしまうと空気中に放射性物質が放出される可能性がありますが、被曝汚染源からの距離の2乗で薄まってゆきますので(放出された放射性の汚染物質の量は一定なので到達面積が増えるほど薄まります。)東京では問題ない量になっています。

被曝には「外部被曝」と「内部被曝」があります。
「外部被曝」はレントゲン検査など、「外部の放射線発生源から放射線を浴びること」で、多少大きい数値でも通常は一瞬ですので、全く問題ありません。影響が出るとすれば先のJCO事故(バケツでウラン)レベルのことが起きなければ大丈夫です。
「内部被曝」というのは、放射性物質を体内に取り込み(呼吸や食事など)それが排出されずに体内に留まり、放射線を出し続けることです。これを防ぐには先日の小生の同級生からの話のように、「水で濡らしたマスク」で十分に防げます。万一の場合は外部被曝よりも内部被曝にならないように気をつけることが重要です。
しかし上記にあるように、東京にまで飛散してくる場合は、相当薄まってきて、問題ない量になっていますので、あまり深刻にならないようにしてください。
半径100km以上であれば(米国では、日本に居住している米国人に対して半径50マイル=約80km以内に近づかないようにとの勧告です。逆に言えば80km以上であれば米国も今の状態であれば問題ないと判断しています)

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さきほど、政府会見にて、「茨城産ほうれんそう、福島産牛乳からの食品衛生法基準以上の放射能検出された」との報道がありました。
「放射線」と「放射能」を混乱しないようにして欲しいのですが、「放射能」は「放射線を出す能力」、「放射線」は「放射されたα、β、γ線など」のことです。
つまりは、「放射線」は一瞬で飛んでゆくものですが、「放射能」は一定の期間放射線を出し続けることになります。「放射能」を持っている食品を体内に取り込んだ場合、一定時間を経て体外に排出されるのですが、その期間は体内から放射線を浴び続ける(以前説明した「内部被曝」)ことになります。

主に危ないのはヨウ素とセシウムで、ヨウ素は甲状腺に蓄積され、セシウムはカリウムと置き換わって筋肉などに蓄積されます。どちらにしろ、一定時間で排出されますので、大量に取らなければ問題ありません。

食品衛生法では、ほうれん草の場合は、ヨウ素では1kg当たり2000ベクレル、セシウムの場合は500ベクレル、牛乳の場合はについては1kg当たり300ベクレル、セシウムの場合200ベクレルです。

この「ベクレル」は「1秒間に何個の原子核が崩壊するか」の単位で、2000ベクレルであれば「1秒間に2000個の原子核が崩壊している」ことになります。

実は、自然界には放射性物質は沢山あります。人間の体にも放射性物質を抱えていますので、大人だと大体5000ベクレルくらいの「放射能」を持っています。

政府の発表では、「1年間の標準摂取量でCTスキャンの1/5程度」とのことですので、まずは問題ないと考えています。(1ヶ月一生懸命ほうれん草を食べて、100マイクロシーベルトくらいと思われます)
正式な「放射能数値」の発表があれば、またコメントします。

食品衛生法も、「平時」(ちょっとでも漏れたら大事になる)の基準で、自然界で出ている量より、(微弱でも)出たらアウトにしているだけなので、あまり過敏にならないようにしてください。

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小生も昨日、群馬産のほうれん草を食べていましたが、先日もメールしましたように、制限量をちょっと上回った量であれば、問題ありません。

さらに検出されたものは、放射性のヨウ素で「半減期」といって、放射能を出す能力が半分になる期間が約8日です。
ですので、万一食べたとしても直ぐになくなってしまいます。

過度の心配はしなくても大丈夫です。
ただ、スーパーマーケット側では念のため、「路地もの野菜」と言って、屋外栽培の野菜はしばらく流通しないように思います。
「ハウスもの」と言って、ビニールハウス栽培の野菜であれば、現状では確実に安心ですので、しばらくはそちらが中心になるように思います。
(つまりは、単に「放射性物質がホコリとして飛んできて葉っぱの表面についています」ということですので、洗えば落ちますし、心配であれば表面の葉っぱを1枚捨ててください)

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報道などで、食品や水道からの放射性ヨウ素などの検出の話しが出ています。

問題ない量なのですが、不安に思っている人のためにこれについて解説します。

放射性ヨウ素が検出されたと言うことは、原子炉内の燃料棒の燃えカスが飛んで来ていると推測します。
燃料棒はウラン燃料なのですが、これが核分裂した時に熱を出して、その燃えカスが放射性ヨウ素(及びセシウム)です。

3/11の地震により、福島第1原発が被害を受け、結果として1次冷却系(原子力燃料と直接接している冷却水)を放出しました。その際に微量な燃えカスが出たものと考えます。
これが大気中にチリとして放出され、時間を掛けて降下し、ほうれん草の葉っぱや、上水道の施設などに落ちた(牛乳の場合は、それらを含んだ水や飼葉を牛が食べて乳に入った)ものが、検出されたものと思われます。

気持ちの良い話ではないですが、現在の検出量は報道にもあるように問題あるものではありません。
基本的には「チリ」ですので、洗い流せば問題ない、またハウス栽培であればチリはほぼ付きませんので問題ありません。
先日のメールにもありますが、人間そのものが放射性物質を持っています。
生物の構成要素は炭素、水素、窒素、酸素ですが、炭素には1兆分の1程度、半減期5700年の放射性同位体が含まれています。これが先日の「人間が5000ベクレル」の元になっています。

この「人間が5000ベクレル」は一生続きます。(生きている限りは人間は炭素を取り入れないといけないのですから、排出しても新しく放射性の炭素が入ってきます・・・)
今問題となっている、ヨウ素は取り込んでも半減期8日、セシウムは半減期30年ですし新たな取り込みがない限りは、どんどん排出してゆきます。
ヨウ素を10000ベクレル取り込んでも、8日後には5000ベクレルになっていますし、16日後には2500ベクレルになります。

また、「放射能の雨」のウワサについては、被曝汚染源の近くでなければ問題ありません。
上記にある「放射性物質を含んだチリ」が雨に含まれて落ちてくるのが「放射能の雨」と言われるものですが、これは本来風に乗って遠くまで飛ぶものを近くで落としてくれたことになります。(近郊に住んでいる人には申し訳ない話なのですが、本来もっと拡散するものが集約されて落ちてくることになります)
半径100km以上に住んでいる人については、逆に「雨のほうが問題がない」ことになります。

本来は、このようなことは「ちょっとでもあったら大問題」なことです。
そのため、「ちょっとでもの時になんとかする」のを目的として、非常に厳しい基準にしていることを知っておいてください。

チェルノブイリの時は原子炉そのものが破壊されていますが、福島の原子炉そのものは予断を許さないものの、今の所安定しているようですので、「チェルノブイリの再来」ではありません。
(今は米国のスリーマイル島原子炉事故のレベルです)

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